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「そ、そんなお世辞言ったって、出来ないものは出来ないんですからね!」
と、意地を張り続けていたはずの恵美。
けれども、彼女の足は明らかに抵抗する気配をなくしていて。
「……単純なやつ」
「えっ?な、なんでですか?」
和成に引かれるがまま、スーパーの中へと足を踏み入れていたのだった。
恵美が手にしたカゴを奪い取って、腕にかけた彼の目は、笑いを堪えきれないというふうに揺れていた。
「べつに。
俺、なに買うかとか全然分かんねえから、カゴ持っとく。
適当に、買うもん入れて」
「は、はあ……」
そう言われても、何を買えばいいのやら、さっぱり分からない。
冗談ではなく、本当に分からないのである。
そこで取り出したのは、秘密兵器
「こ、これを見て買ったほうがいいですよね!」
『彼氏につくってあげたい料理、ベスト50』。
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