Ⅳ

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「そうだなあ……」 怪訝な顔になる彼に、恵美は訊ねる。 「じゃあ、好きな食べ物はなんですか?」 すると答えは一言。 「肉」 「……それはまた、直球ですね」 「だって、お前が好きなもの聞いてきたんだろ?」 「それはそうですけど、肉って……。 まあ、男の人なら、やっぱりガッツリとお肉が食べたいんでしょうけど、でも……」 なんだか、イメージが違うような気もしていた。 恵美が予想していた、『彼氏に作ってあげたい料理』といえば、やっぱり肉じゃがとか、オムライスとか……そんなイメージだったのだが。 しばらく口を閉ざしていた和成が、やっと口を開いたかと思えば 「あ、じゃあ……これは?」 指さしたのは、牛丼の写真だった。
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