Ⅳ

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「はあい……」 弱々しく返事をした恵美。 いくら料理本があるからといっても、そこに書いてある通りに事は進まない。 小さなコンロでは火力が足りずに時間がかかるし、洗い物は山のように増えていくし。 なにより 「先輩、お砂糖ってどこですかー?」 「は?ねえよ、砂糖なんか」 「えー!?じゃあ、どうするんですか!砂糖おおさじ1って書いてあるのにっ」 当然あるだろうと思っていた調味料が、ないのである。 「そんなの知るか! ……あ、コーヒーに入れるスティックの砂糖ならあるかも」 「それでもいいですよ、たぶん」 「たぶん?マジかよ。 つーか、本当にあったかな。無かったかもしんない」 「ええっ?探してください!早く早く!」 「急かすな、バカ。ちょっと黙って待ってろ!」
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