Ⅳ

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ちょっぴり焼きすぎて、コゲのついた肉。 しかし 「あ!なかなか美味しいじゃないですかあっ」 自分で作った苦労を考えれば、美味さも増すというものである。 和成も、しかめっ面をしてはいたものの 「まあ……思ったより、食える」 なんて言いながら、早くも半分ほど皿を空にしているのだった。 「『思ったより』だなんて!先輩、すっごい早さで食べてるじゃないですか」 「腹減ってんだよ。出来るまでに、こんなに時間かかると思わなかったから」 「……すみません」 これには反論もできずに、おとなしく頭を下げた恵美だったが。 「ま。でも……うまいよ。 よくできました」 大きな手がフワリと頭に乗せられたのを感じると、ガシガシと撫でられて、もう彼女の顔には笑顔が戻ったのだった。
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