Ⅳ

41/68
前へ
/632ページ
次へ
「『ふうん』って……。なにか他に言いようがあるでしょお?」 恵美は不満げに言ったが、彼は皿をかきこむようにして空にしてしまうと、ドンと音をたててテーブルに置いてから口を拭った。 「他って?」 「だからー、『可愛いね』とか、『似合ってるじゃん』とか……。 褒めてくださいってことですよ!」 思わず声を張り上げてしまってから、急に自分の言ったことに恥ずかしさを覚えて。 彼女は急いで自分も皿を空にしてしまってから、立ち上がった。 「あ……じゃ、じゃあ片付けましょうか」 ところが。 彼女の前に唐突に和成の腕が伸びてきたかと思うと、彼女の動きを封じてしまった。
/632ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3303人が本棚に入れています
本棚に追加