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首をかしげながらも、まだ火照ったままの頬を軽く膨らませて、箱に手を添える恵美。
すると、開いた中から出てきたのは、小さな小さな丸いショートケーキで。
中央に置かれたチョコレートのプレートには『えみちゃん お誕生日おめでとう』と、可愛らしい文字が飾られていた。
「先輩っ……」
驚いて言いかけた彼女の言葉にかぶせように、彼は言った。
「誕生日、おめでとう」
「……ありがとう、ございます」
「ん。食べるか?」
ニコニコ、ニコニコ笑う彼は、本当に嬉しそうだった。
祝われているのは恵美のほうなのに。
まるで自分が祝われているかのような楽しげな笑みを浮かべる彼に、胸が締め付けられるように感じた。
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