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「こんなの買うの、スッゲー恥ずかしかったんだからな」
「先輩が買ってくれたんですか!?」
「あのな……。そうじゃなかったら、誰が買うんだよ」
呆れ顔の彼に、恵美は思わず赤面してしまった。
「で、ですよね……」
が、それでもまだ言い足りないらしい和成の言葉は止まらない。
「里美ちゃん達には、あれやこれや言われるしさー。
うるせえっつうの」
言いながら、何度か金具を滑らせた後、なんとかブレスレットを腕につけて彼は笑った。
「でも、ほら。いい感じだろ」
ところが、そう問われても、恵美の方はすぐには言葉にならなかった。
手首に光る細い鎖が眩しくて。
見ているだけで、胸が押しつぶされてしまいそうに、痛む。
しかし、その痛みは、少しも辛いものなんかではなかった。
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