3303人が本棚に入れています
本棚に追加
「じゃあ、今度は俺の番な」
「へ?どういうことですか?」
慌てたように言う恵美の指ごと、自分の腕を引くと、和成は数センチの距離まで顔を近づけてきた。
いつまで経っても、彼の笑顔に慣れる事ができない自分が悔しい。
もう何ヶ月も一緒にいるのに。
どうして、こんなにドキドキするのだろう。
「だーかーら……」
どうして、彼の声を聞いただけで、耳まで熱くなってしまうのだろう。
そんなことを考えながら、トロンとした目で見上げる先で、和成は意地悪そうな微笑みを浮かべていた。
「俺、こんなに頑張ったんだしさ。
お礼は、言葉以外でくれよ」
最初のコメントを投稿しよう!