Ⅳ

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「……はあ」 力なく呟く恵美の唇に、和成はそっと指を這わせる。 ジンジンと痺れるような感覚。 頭が白く塗りつぶされて、考える事さえ出来なくなって。 柔らかさを確かめるように、グッと押してくる指だけを見つめていた。 が、ちょっと身を乗り出せば触れ合える距離にある彼の唇は、それ以上近寄っては来なかった。 「あ、あの」 「んー?」 おかしい。 いつもなら、こんな距離に置いたまま、何もしてこないなんて事、ないのに。 「先輩?この微妙な距離は……なんですか?」
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