Ⅳ

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「そ、それは……」 恵美は滑らかな頬を淡い桃色に染めて、抗議する。 が、和成のからかうような声は途絶える気配もなかった。 「なにー?はっきり言ってくれなきゃ、分かんないよお?」 甘ったるい声で囁いて、恵美の脳をトロトロに溶かしてしまう。 それでもまだ黙ったまま話そうとしない彼女の肩を、滑り落ちるように撫でた。 「じらされちゃうでしょ?この……なんとも言えない距離感」 それから彼は、ニヤニヤ笑いを消そうともせずに 「ほうら……そろそろ、キス……したくなってきた?」
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