Ⅳ

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「んんっ……」 彼の触れる場所から、どんどん体が熱くなっていくのが恥ずかしくて。 でも、その大きな手が心地よくも感じられてしまって。 自分でも、感情がコントロールできないのが、怖かった。 ところが。 不意に彼の指が動きを止めたかと思うと、 「……恵美?」 ぼんやりと彼が呟いて、彼女を見下ろしていた。 その瞳は、始めこそ何も見ていないかのようにフラフラとさ迷っていたけれど、しだいに焦点が合ってきたというふうに、恵美に向けられて。 しまいには、まっすぐ彼女に向けられたところで、彼は驚いたように目を見開いた。 「恵美?」
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