Ⅳ

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「恵美……ですけど」 わけが分からずに、そう答えると、彼は急に彼女の上から体を起して、ストンと隣に腰掛けた。 「恵美、だよなあ」 「……はい?」 まだ、なにかブツブツ言っている彼の隣に、乱れた服を直しながら座ると、和成はマジマジと彼女を見て、言った。 「え?この状況、なに? 俺……なんか、のみこめてないんだけど」 やけに臆病そうな声になる彼は、初めて見た気がした。 「私も……よく分かってないですけど。 いつの間にか寝ちゃってたみたいで、さっき目が覚めて……」 「ああ。そうそう俺がチューしたら、倒れたんだよ。 で、しょうがないからベッドに寝かせて。 俺も隣にいたら、いつのまにかウトウトして……」
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