Ⅳ

61/68
前へ
/632ページ
次へ
彼の言葉に、なんとなく事情が分かった気がして、恵美は赤くなりながら頷いた。 「そ、そういうことだったんですね。 じゃあ、今のは……先輩は寝ぼけてて……」 モゴモゴと口の中で言うと、和成は彼女に向き直った。 「寝ぼけてた?俺、もしかして何か……した?」 「ま、まあ……ちょっと?」 「ちょっと? うわあ、マジかよ……」 和成は頭を抱えるようにして、丸くなったまま動かなくなった。 まるでダンゴ虫のような格好に、堪えきれない笑いを押し殺して、恵美は言う。 「どうしたんですか?」 すると彼は 「どうせ寝ぼけてたんだったら、もっとスゲー事、しとけば良かったなあ」 と恵美を驚愕させるようなことを言ってのけるのだった。
/632ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3303人が本棚に入れています
本棚に追加