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そんな恵美を、本当に猫に対してでもいるようにフワフワと撫でて、彼は続けた。
「まあ、だから……。
お前の気持ちは分かったからさ。俺だって、もう我慢はしないけど」
言いながら耳をくすぐられて、肩が跳ねる。
しかし彼はそれさえも楽しそうに見下ろしたまま、からかいの手を止めようとはしなかった。
「でも……まあ、大事にしたいし、な」
「え……?」
聞き間違えかと思った。
和成らしからぬ台詞に、目をパチクリさせながら飛び起きて、真正面から向き合うように、彼をじっと見る。
けれども、もう彼の表情からは真剣さが消え失せていて。
「も、もう一回言ってください!今の言葉!」
どんなに恵美が頼んでも
「えー?なに言ったっけ、俺」
すっとぼけたまま、答えてくれそうにはなかった。
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