Ⅳ

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そんな恵美を、本当に猫に対してでもいるようにフワフワと撫でて、彼は続けた。 「まあ、だから……。 お前の気持ちは分かったからさ。俺だって、もう我慢はしないけど」 言いながら耳をくすぐられて、肩が跳ねる。 しかし彼はそれさえも楽しそうに見下ろしたまま、からかいの手を止めようとはしなかった。 「でも……まあ、大事にしたいし、な」 「え……?」 聞き間違えかと思った。 和成らしからぬ台詞に、目をパチクリさせながら飛び起きて、真正面から向き合うように、彼をじっと見る。 けれども、もう彼の表情からは真剣さが消え失せていて。 「も、もう一回言ってください!今の言葉!」 どんなに恵美が頼んでも 「えー?なに言ったっけ、俺」 すっとぼけたまま、答えてくれそうにはなかった。
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