Ⅳ

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「えー!絶対、忘れてないくせにっ。 お願いしますよお。もう一回だけ!」 「はあー?だって、忘れたもん」 「お願い!だって、先輩がそんなこと言う時なんて、金輪際ない気がするんですもん!」 「ひっでえ言い方だなあ。じゃあ、ご希望通り、金輪際言ってやんねえからな」 「ええー!?」 振り回す腕に巻きついて、サラサラ涼しげな音をたてるブレスレットが、2人を笑っているように恵美には聞こえていた。 こんなに素敵な誕生日を過ごしたことはない。 そしてきっと、これからもないのかもしれない。 そう思ったところで、彼女はちょっぴり照れくさそうに呟いた。 「来年も……私の誕生日、お祝いしてくれますか?」 「……わかんねえな」 和成は、ぶっきらぼうに言ったけれど。 ふくれっ面になった恵美に、吹き出すように言ってくれたのだった。 「当たり前だろーがっ」
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