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「えー!絶対、忘れてないくせにっ。
お願いしますよお。もう一回だけ!」
「はあー?だって、忘れたもん」
「お願い!だって、先輩がそんなこと言う時なんて、金輪際ない気がするんですもん!」
「ひっでえ言い方だなあ。じゃあ、ご希望通り、金輪際言ってやんねえからな」
「ええー!?」
振り回す腕に巻きついて、サラサラ涼しげな音をたてるブレスレットが、2人を笑っているように恵美には聞こえていた。
こんなに素敵な誕生日を過ごしたことはない。
そしてきっと、これからもないのかもしれない。
そう思ったところで、彼女はちょっぴり照れくさそうに呟いた。
「来年も……私の誕生日、お祝いしてくれますか?」
「……わかんねえな」
和成は、ぶっきらぼうに言ったけれど。
ふくれっ面になった恵美に、吹き出すように言ってくれたのだった。
「当たり前だろーがっ」
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