4:昔のことを言うと鼠が笑う

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「ノロケてなんかないじゃんっ」 と、ささやかながら抵抗してみても 「いーや、ノロケてるね」 「うん。完全にノロケてる」 「顔からしてノロケてるし」 3人に冷たい目で睨まれてしまえば、それ以上なにも言う気にはなれなくて。 「もういいっ」 と、1人早足になって、店へと足を踏み入れた。 ギラギラした光が溢れる道から、急に薄暗い店内に入ったせいで、目が見えなくなったような錯覚に陥る。 が、外もすでに日の光は弱まった時間帯だから、すぐに目は慣れてきたのだけれど。 誰もいない暗闇だとばかり思っていた所に、人影があったことに気がついた時、恵美は足が動かなくなってしまっていた。
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