4:昔のことを言うと鼠が笑う

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自分が何を見たのか、恵美には理解出来なかった。 悪夢を見て飛び起きた時のように、もう映像がぼやけ始めて。 脳が懸命に信号を送って、全てを夢だとでも思い込もうとしているようだった。 それでも。 いつの間にか硬く握り締めていた手を開けば、じっとりと汗が滲んでいて、駆け足で逃げ出してきたことが現実だと実感させられる。 今見た光景は、夢でもなんでもないのだ。 ……和成とジュリが唇を重ねていたのは。
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