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「んなわけないって言ってるじゃないすか」
文雄になんと言われようとも、和成の口から出てくるのは否定的な言葉ばかり。
その、かたくなな態度は、段々と和成を冷静にさせていく。
その一方で、熱くなり始めたのは文雄のほうだった。
「実際に、やることやっといて、そんなこと言われても信じられるわけないだろーが。
百歩譲って、一回だけなら、事故かもしれないよ?
でも、二回目は、そう上手くは逃げられないだろ。
はっきり認めろよ。お前がジュリに、無理矢理にしたんだって」
意識せずとも肩が小刻みに震えているのに、急に気がついた恵美は、慌てて自分を抱きしめるように、両肩に腕を回した。
その時である。
ふと目をやった先の文雄の顔がやけに青ざめて見えて、彼女は思わず確かめるように凝視してしまった。
なにか、おかしいような気がして。
文雄をマジマジと見つめた。
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