Ⅰ

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「ジュリさん……?」 恵美が怯えたように呟く。 が、それに被せるようにして和成が口を開いたものだから、彼女の声は誰に届くこともなく消えてしまった。 「なんで出てくんだよ」 「なんでって。あんた達の話が、いつまで経っても進まないからでしょーが」 ジュリの返答を聞いても、2人が何を言っているのか、いまいち理解できなかった。 文雄も怪訝な表情を崩さずに、口をへの字に曲げて、2人を交互に眺めている。 「だから、それは……俺だって色々と考えながらさ……。 だいたい、フミさんと面と向かって話す勇気がないってジュリが泣きべそかくから、俺が先に出てきたんじゃねえかよ」 「泣きべそなんてかいてないっ。 失礼なこと言わないでよね」 「いーや。俺は嘘なんか言ってない。 あんなに、目、ウルウルさせてたくせに」
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