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「とにかく。
フミが色んな子に手を出してるのは薄々分かってたけど、いざ目の前に女の子が現れたとなると、私も動揺しちゃったのっ」
最後の言葉は、叩きつけるように宙へと放たれた。
勝ち気なジュリは、みんなの前で弱いところを見せたくはなかったのだろう。
とりわけ文雄には、自分の本音を伝えたくなかったのかもしれない。
茶化すように笑いを交えるジュリを見ていれば、それがよく分かった。
しかし、当の文雄に、それが分かっているのかいないのか。
彼は難しい顔をして、うつむき加減に前を見つめているばかりだ。
「それで、まあ……パニックになっちゃってさ。
さすがの私も」
ジュリは笑っているつもりだったのだろうが、もう彼女の声はすっかりかすれてしまって。
泣いているようにしか聞こえなかった。
「訳わかんなくなっちゃって。
隣にカズくんがいるのも、すっかり忘れて、うろたえちゃってさ。
自分では覚えてないけど、多分、変な行動をとってたんだと思う……」
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