Ⅰ

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「とにかく。 フミが色んな子に手を出してるのは薄々分かってたけど、いざ目の前に女の子が現れたとなると、私も動揺しちゃったのっ」 最後の言葉は、叩きつけるように宙へと放たれた。 勝ち気なジュリは、みんなの前で弱いところを見せたくはなかったのだろう。 とりわけ文雄には、自分の本音を伝えたくなかったのかもしれない。 茶化すように笑いを交えるジュリを見ていれば、それがよく分かった。 しかし、当の文雄に、それが分かっているのかいないのか。 彼は難しい顔をして、うつむき加減に前を見つめているばかりだ。 「それで、まあ……パニックになっちゃってさ。 さすがの私も」 ジュリは笑っているつもりだったのだろうが、もう彼女の声はすっかりかすれてしまって。 泣いているようにしか聞こえなかった。 「訳わかんなくなっちゃって。 隣にカズくんがいるのも、すっかり忘れて、うろたえちゃってさ。 自分では覚えてないけど、多分、変な行動をとってたんだと思う……」
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