Ⅰ

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「なに勝手なこと言ってんの?」 あまりに低い彼の声に、思わず場が静まり返った。 「なんで、ジュリが一人で結論だしちゃうわけ? 俺の意見は?無視かよ」 「無視っていうか……。そのほうが、フミも良いんだって思ったから……」 「だからさあ。俺、そんなこと言ってないだろ?」 「……言ってはいないけど。そういうことなんじゃないの?」 「そういうことって?なに?」 質問をしておきながら、彼はジュリに答えさせる気はなかったらしい。 大きく息を吐いて、ジュリを睨みつけると 「俺は、別れる気なんてないからな」 きっぱりと言い切ったのである。
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