Ⅰ

61/74
前へ
/632ページ
次へ
「また、余計なことを……」 いかにも迷惑そうに、和成は呟いた。 それには、もちろん恵美も同意見で 「本当ですねえ……」 ため息混じりに頷きかけたのだけれど。 「でも」 と、ちょっと姿勢を正して和成に向き直ると、彼を真っ直ぐに見つめた。 「なに?」 何を言われるのかと訝しげな彼に、早くも怯みそうになる。 が、纏わりついて離れそうもないモヤモヤした感情を、どうしても放っておく気にはなれなくて、恵美はおずおずと口を開いた。 「本当のこと、言ってください。 ジュリさんのこと……好きなんですか?」
/632ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3303人が本棚に入れています
本棚に追加