Ⅰ

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予想していなかった言葉に、心臓が跳ねる。 それでも。 「……いいですよ」 「なんだって?」 「……だから。我慢……しなくて、いいです」 愛しくてたまらない気持ちが、溢れ出して留まらなくなってしまった恵美は、もう自分でも自分自身を抑えることができなかった。 今はもう、ずっと一緒にいたい。 「また、そんなこと言って……。本気にするからな?」 和成はあくまで半信半疑といったように笑い飛ばしてしまいそうになったが、 「本気に、してください」 消え入りそうな恵美の声を聞くなり、急に真剣な顔になった。 「本当に。本当に、本気で言ってる?」 「……はい」 「絶対?」 「絶対です。 ていうか、何度も言わせないでくださいよっ。なんか恥ずかしいじゃないですか!」
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