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和成は冗談めかしていったが、恵美は小さく
「本当に……大好きです」
と小さく言ってやった。
「なんだか、そんなに素直だとからかいがいがねえなあ」
「そんなことっ。いつもは、先輩が意地悪してくるからいけないんじゃないですかあ」
「そうだっけー?」
とぼけるように頭をかきながら、2人はすっかり暗くなった道を歩いていく。
街灯から漏れる光に照らされて、和成の瞳はまるで濡れているように見えた。
「でも、家に着いてからも、その素直さが続くかなー」
「え……どういう意味ですか」
「なんだよー、言わせたいの?」
「い、いえっ。やっぱり良いです!」
「言ってやろうか?」
「ダメですって。こんなところで!」
「こんなところで言えないようなこと、考えてたわけ?」
「そういうわけじゃなくて!あー、もう!意地悪ばっかり!」
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