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光を浴びて浮かび上がった2人の影が、後ろから回って前へとやってくる。
しだいに伸びる2人の影。
いつしか、くっついて一つになった影を眺めながら、こんなふうに溶けて一緒になってしまえばいいのに、なんて思えた。
和成に言えば、またバカにされるだろうから、決して口には出さなかったけれど。
恵美はもう、ニヤニヤ笑いが唇の端に浮かんでしまうのを止めることができなかった。
何があっても好きな人。
そんな人に出会えた自分の幸せを確かめるように、彼の大きな手を握って。
和成の隣をしっかりと歩きながら、決して繋いだ手を離さぬようにしようと心に決めて。
いつもよりも、ゆっくりと歩いてくれる彼の隣を、進んでいった。
おわり
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