冬桜《パソコンver》

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 何してるんだろう、僕。遊びなのか本気なのか確かめるなんて。一昨日のコーヒーを飲むときの副店長、さっきの引き継ぎのときの副店長。あの態度を見れば明らかなのに。異動になる直前にバイトに手を付けてそのままサヨナラ、が妥当な考察だとため息をついた。  初めての女性の部屋。初めてのキス。生暖かい唇。胸の白い膨らみ。僕のをスーッと吸い込むように包んでくれた彼女。一度切りのお遊びだった。僕が童貞で下手ですぐイっちゃったから、もう相手にもしてくれないんだ。そう考えて諦めた時、ドアが開くときの軋む音がした。 「……榎並くん」  階段を下り終えて2、3歩したところで僕は振り返った。見上げるとドアを開けた副店長が僕を心配そうに見ていた。 「……寒かったでしょ? コーヒーでも飲んでく?」  あの泣きそうな笑顔。何故そんな表情をするの? 副店長は瞳を潤ませる。僕はたまらなくなって、階段を駆け上がった。玄関に押し入るようにして副店長を抱きしめた。無我夢中で抱きしめた。  副店長はこないだと同じく僕を見上げてキスを誘った。僕は教わった通りにキスをする。唇を舐め、その裏側に舌を入れ、それから絡める。キスの合間に彼女の吐息が漏れる。コーヒーなんていらない。パジャマ姿の副店長を抱き上げて部屋に入り、ベッドに寝せてそれを剥ぎ取る。僕も全部脱いだ。副店長はこの前と同じようにベッドから下りて膝立ちし、僕のを含んで一度目の射精をさせた。そのあとは横になり、僕に愛撫の仕方を教える。胸。二の腕。脇腹。そしてその部分。僕はまじまじと見ながら人差し指で言われたようになぞる。柔らかくて怖くて副店長の声が漏れる度に指を離すと、副店長は、もっと、と僕に愛撫を催促する。時々、「榎並くん、上手」と吐息混じりに褒めてくれて僕はますますそこを擦り上げた。  バイト入り立ての頃みたいに、ひとつひとつ、ゆっくりと教えて、出来ると褒めてくれる。  副店長に促され僕は彼女の中に入る。今夜で2回目の僕はちょっとだけ余裕があって、彼女の顔を見下ろしていた。細い眉を寄せてしかめて、僕に聞こえるか聞こえない位の小さな声を漏らしていた。綺麗で可愛くてそれでいて色っぽくて、そんな副店長を見てるうちに僕は我慢出来なくて、またすぐに果ててしまった。 「あ、す、すみませんっ!!。僕、また……」 「……いいの。気持ち良かったから、ね?」
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