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「…ふふっ。積もってる。たのしー。なんか、嬉しくなるね♪」
先ほどの出来事など、モノともしない主の声に…
肩の力が抜ける。
「そのようですね。ふふっ。」
余計な力が、抜けた俺は…
憂鬱が吹き飛ぶような、明朗な主の声に、素直に微笑む事ができた。
外を白く、白く染め上げる雪に…
目を輝かせながら俺の手をとった主は楽しそうに、はにかんだ。
「…冬って、人の体温を感じる季節だと思うんだ。城のどこにいても、気配を辿るだけで、温かい気持ちになるなっ。」
弾むような、白く息を吐いて…
繋いだ手を揺らしながら、見上げる皇子に、無言で頷いた。
「…あのさ、部屋に戻ったら相談あんだけど…。いい?」
…小声で耳元で、囁いた皇子に、こくりと頷く。
(…何か、企んでいらっしゃる?)
ニヤリと笑った皇子に、不安を覚えながらも…
俺は、部屋のドアをあけた。
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