変装皇子*番外編*

6/22
前へ
/24ページ
次へ
「真っ赤なお鼻のー。トナカイさんはー♪」 歌いながら繋いだ手を揺らして歩く主に、首を傾げる。 城下になど、ほとんど降りた事のない主は、左手に紙切れを持ち… どんどん人気のない道へ入っていく。 …どうやら、目的があるらしい。 店もまばらな裏道に入ると、機嫌良さそうに、更に細い道に入った主は… とある、アンティークショップで足を止めた。 「とーうちゃくっ♪」 「ここは?」 「ヨフの誕生日プレゼントは、この店にある。」 「は?」 皇子は、にこりと微笑むと… 俺の手を引き、店の中に入った。 「いらっしゃい…。」 「…引き取りに来たぜ?」 店主は、皇子の顔を見ると… 嬉しそうに、目を細めた。 「ずいぶんと、お待ちしていましたよ。」 「まだ、ある?」 「勿論。」 そうゆうと、店主は… 奥の棚から黒い箱を取り出した。 「…此方でよろしいかな?」 店主が開けた箱の中には、見事な細工の懐中時計が収まっていた。 「あぁ。間違いないよ。」 そうゆうと、皇子は嬉しそうに笑った。      
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加