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「真っ赤なお鼻のー。トナカイさんはー♪」
歌いながら繋いだ手を揺らして歩く主に、首を傾げる。
城下になど、ほとんど降りた事のない主は、左手に紙切れを持ち…
どんどん人気のない道へ入っていく。
…どうやら、目的があるらしい。
店もまばらな裏道に入ると、機嫌良さそうに、更に細い道に入った主は…
とある、アンティークショップで足を止めた。
「とーうちゃくっ♪」
「ここは?」
「ヨフの誕生日プレゼントは、この店にある。」
「は?」
皇子は、にこりと微笑むと…
俺の手を引き、店の中に入った。
「いらっしゃい…。」
「…引き取りに来たぜ?」
店主は、皇子の顔を見ると…
嬉しそうに、目を細めた。
「ずいぶんと、お待ちしていましたよ。」
「まだ、ある?」
「勿論。」
そうゆうと、店主は…
奥の棚から黒い箱を取り出した。
「…此方でよろしいかな?」
店主が開けた箱の中には、見事な細工の懐中時計が収まっていた。
「あぁ。間違いないよ。」
そうゆうと、皇子は嬉しそうに笑った。
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