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「はい」
そう言って目の前に出された銀のトレイに私は思いきり身体の中の物を吐き出した。
〔くぅう、頭が、割れるようだ〕
「そうでしょうね」
「フレイ、大丈夫?」
興味津々の顔で私を覗き込む幼馴染と心配しながらオロオロしている我が妻とを交互に眺めながら、喋るとまた体液を吐き出してしまいそうな私は何も出来ずに口を押さえているだけだった。
「はい」
イリューアが新しいトレイを差し出す。
由宇紀がすまなさそうにこちらを見ているが、私自身に余裕がない。
やはり体液を吐き出してしまった。
「うえぇ、どうしようイリューアさん」
「そうねぇ、ここじゃあ何も出来ないわねぇ、薬もないし。
とりあえずチューブに突っ込みますか」
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