運命の出会いって信じる?

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 この公立高校は校内は他の学校と比べ、少々せまい。私は正門から入り、自分の教室へと向かった。教室に入り、窓際の席に座って静かに本を読んだ。私に友達はいるが、そこまで仲の良い子はいない。だから、ほとんど1人でこうして過ごしているほうが多かった。いつものように過ごしていればいいんだ。  担任の色川先生が中に入ってきた。今年入ってきたばかりの先生だそうだ。始業式から一ヶ月も経った今は少しは学校になじんだみたいだった。 「今日は、特に連絡することはありません...」と連絡をしていく。私は窓の外を眺めた。 学校で飼われている猫たちが自転車置き場の屋根に登ってお昼ねをしていた。あの子たちはいいよね。ああやって好きなときに可愛がられて、遊んで、自分勝手にできて...。私には自由なんてなかった。親の言われたとおりの道を進むだけ。それをつらいと思った感情は今はなかった。
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