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向かい合わせに詞音さんが座った。
「私も休憩しようかな」そう言って飲み物を取ってきた。
「マスター、別にいいですよね?」白川さんに詞音さんは訊ねた。
「お客さんもいないし、かまわないよ」白川さんは快くうなずいた。
家ではいつも1人で、親には怒られてばかり。自分の1つ上の兄とも仲がいいわけではなかった。いつも1人でいることが多かった。それが当たり前でそれが私なんだと自分に言い聞かせていた。
「花澄ちゃんっていつもここで勉強しているの?」笑顔で詞音さんは私に訊ねた。
「はい。白川さんにお願いしてもらってここでやらせてもらってます」
「部活は?」私は少し苦笑いをした。
「やってません」意外そうな表情を浮かべた。
誰かと話すとき、いつも緊張したりしてしまうのに不思議と詞音さんには緊張しなかった。むしろ話しやすくて、会話が弾んだ。心の底から"楽しい"と思えた。初めての感情だった。"もっといっぱい話がしたい"と強く思っていた。
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