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5時のチャイムがお店にも聞こえた。そろそろ私は帰らなければならなかった。
「すみません、もう帰ります」
「残念だな」と詞音さんは少しがっかりしていた。それがすごくうれしかった。だから、思わず私は訊ねてしまった。
「私と話をして、楽しかったですか?」きょとんとした表情を詞音さんはうかべた。クスッと口元で笑った。
「とっても楽しかった。また一緒に私と話してくれる?」
「はい!」とてもうれしかった。私だけが楽しいのかと思っていた。また、明日もここに来れば話せる。私は白川さんと詞音さんにお礼を言って、自宅に帰った。
ここが私の居場所。自分を出しても何も言われない。むしろ、快く受け入れてくれる。温かい大事な場所。夕日がとても綺麗に空を紅く染めていた。今日はいつもと違って楽しかった。あんなことが毎日起こればいいのに。私は元気よく夕日に向かって走り始めた。
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