私の居場所

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 6月に入り、雨季の季節。雨ばかりで気分も憂鬱に感じる。 「花澄ちゃんっておとなしいけど、何考えているか分からないよね」とクラスでまた何かうわさが流れていた。あることないこと、うちのクラスではうわさとして流れる。それに構うほど、私は余裕はない。 今日もいつものように読書をしていた。ただ目立たないように。本の世界は私にとっては大切な場所だ。本を読むだけで、ヒーローになれたり、恋愛ができたりと。  私の初恋は残念ながらまだない。相手にどきっとしたことすらない。どんな気持ちなのか私は知らなかった。そして、あまり興味もなかった。ただ、付き合っている人はみんな幸せそうだとしか思わなかった。私も恋愛することがあるのかな?そう思うとおかしくなり、1人笑ってしまう。 「いつも本読んでいるんだな」前に座っているショートの髪の女の子に話しかけられた。あまり声を掛けられないので思わず驚く。 「う、うん」じっと女の子は私を見つめた。どうしていいか分からず、下を向いた。
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