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ホワイトクリスマス。
雪が舞い、恋人たちは寄り添い、イルミネーションを眺める。
あるカップルは映画を見に行き、サラリーマンはクリスマスケーキやプレゼントを抱え、家路を急ぐ。
ケーキのデコレーションの取り合い喧嘩になる兄弟。
それぞれ思い思いのクリスマスを過ごしていた。
そして、このカップルも-。
ある一組のカップルはプレゼント交換をしているところだった。
ディナーが一段落したところで彼女がマフラ ーを彼にプレゼントし、彼も彼女にプレゼントを贈る…筈であった。
「あれ?」
雅人はプレゼントが入っているはずの紙袋を探す。
しまった、ない。
どうやら地下鉄においてきてしまったようだ。
雅人は柳眉を下げながら彼女に詫びた。
「悪い、美羽。プレゼント置き忘れて来た」
何と言うことか。
素直過ぎるのも時として悲劇を招くことがある。
雅人は素直に謝罪したが、彼女が許すはずもない。
美羽は怒って席を立ってしまった。
あーあ、美羽のこと怒らせちまったな。
あいつ、怒ると口聞いてくれないんだよな…。
彼女の美羽を待っている間、彼は自らの失態を振り返っていた。
悪いな、美羽。今日だけは…。
まぁ、帰らなかっただけましか。今夜はまだ イベントが残っているし、彼女もそれで機嫌を直してくれることだろう。
じゃないと俺…。
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