琉維の苦手なもの

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「勝ったぁ!!」 「おい夢帝!!卑怯だぞ!」 「でも勝ったは勝ったよなぁ?」 「ぐっ……」 「さぁ、俺の願い、聞いてもらうぞ」 ニタッと笑う夢帝。なんだかすごく嬉しそうだ。………しょうがない。きいてやるか。 夢帝に何にするのか尋ねると、 「とぉーうっ!!」 「うわっ!?」 ……いきなり飛び掛かってきた。あまりに唐突だったからおれは押し倒され、腰の辺りに夢帝が跨がっている状態になった。つまり、マウントポジションをとられている。 「夢帝、なにをす…」 「お前の苦手なヤツだ」 ニヤリと不敵な笑み…まずい! 「お、おい、まさかお前!」 その笑みのまま夢帝はおれの両手首を掴み、上に上げた状態で片手で固定した。 「お、わかってくれたか?俺の願い」 そう言って残っている片手をワキワキと動かす。 「バカ、やめろっ!」 腕の拘束を外そうともがくが外れない。それもそのはず。夢帝は空手を習っている。おれは空手はおろか、部活動もサッカー部のFW。足は鍛えられる分、腕の力は弱くなる。力の差は圧倒的だった。 「だってぇ、お前負けたじゃん?ルールはルールだろ?」 夢帝が満面の笑みを浮かべている。その笑顔は悪魔を連想させるくらい黒かった。 「おれの願いは、5分間お前をくすぐることだ。」         「ちょっ夢帝っ!それだけはやめろっ!!マジで!」 やばいやばいやばい!これはマジでやばいって!! 「大丈夫だって。たった5分だから」 「大丈夫じゃねぇ!!」 ど○べえ一個出来る時間じゃねぇか!あの天下のど○べえだぞ!!個人的には赤いき○ねより緑の…じゃなくて! 「おい、やめてくれ!本当、マジでっ!」 「い・や・だ☆」 再度ニヤリと笑うとおれの身体に手をのばした。
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