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「…いい加減やめてくれませんか??」
「え、なにを????」
藍樹は千良に対し鋭い視線を向ける。
それに対し、千良はにやぁっと笑いながら、さも全然分からないといったフリをして答える。
それがまた藍樹の反感を買い彼を苛立たせていた。
先程まで食堂にいた他の仲間も先に自分の部屋へ帰り、今この場所には千良と藍樹の二人しかいない。どの仲間とも二人になることはよくあることなのだが、いつもに比べて静まり返っていた。
それもそのはず、藍樹はこの妙な笑顔を浮かべるこの男が苦手だった。苦手というよりもむしろ嫌いに近い感情を抱く彼は、よりにもよってことある事に絡んでくるのである。藍樹にとってそんな彼は苛立たしい存在でしかなかった。
そんな男に何故藍樹から声をかけたのか。
それは、千良という男は何故かこういう場面になると急に静かになるのである。
相手の様子を観察している。
そう思うのは自分だけかと思うほど目線は合わないのだが、確かにそう感じられる程のオーラを醸し出している。
それが限りなく嫌だった。
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