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「そっか。じゃあさ、君は外を見れないし人とも喋れないだろう?」
少女は不機嫌そうに返答する。
「だったら何」
「僕が、外の出来事を教えてあげるよ。退屈しているだろうから、話し相手も務めよう」
話し相手は、欲しかった。
病弱な自分に、同情や憐れみではなく、ただ話し相手になってくれる人が、少女は欲しかった。
だから彼女は、戸惑いつつも頷いた。
「じゃあ、私の話し相手になって」
「わかった。まず、君の名前を聞いてもいいかな?」
スノウが笑顔でそう言うと、少女は小さな声で呟く。
「……ノエル」
「よろしく、ノエル」
これが、少女と少年が出会った日だった。
* * *
―――January
「こんばんわ」
「今日も来たのね」
「ノエルが来てって言ったじゃないか」
「嘘言わないで。それに、話を早く終わらせたかっただけ。毎晩来るとは思わなかったわ」
ノエルとスノウが出会ってから、1ヶ月が経っていた。
「そうだったっけ?」
「そうよ。私、記憶力はいいの。私じゃなくてあなたが言ったのよ。話し相手になるって」
微かな笑い声。
くすりと笑うノエルと、それを眺めるスノウ。
家族と医者以外の人と関わらないノエルには、幸せな時間だった。
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