偶然が重なる日

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「これは別にいじめとかじゃな……」 「いいよ。言い訳とかいらない」 そう言った時のユキの表情を、どう言い表そうか。 今まででこんなに冷たい表情のユキを見たことがない。 背筋がぞっくと凍るような、そんな目を。 どうしよう。ユキがめちゃくちゃ怒ってる……… これは、まずい。 このままじゃユキが女の子を泣かせちゃうっ 「な、なんかお腹痛くなってきちゃった!」 突然この空気を破ったわたしに愛子は、は?とでもいいたそうな顔して クラスのみんなはきょとんとしている。 さっきまで氷のような空気を作っていた張本人のユキの表情も少し和らいだ。 「保健室いくからついてきて!」 「え、おいっ」 腕をぐいっと引っ張ってそのままユキを強制送還。 もちろん突然の腹痛はとっさに思いついたウソだ。 あのままだったらユキが愛子を泣かせてただろう。 そんなのだめ。 みんなに優しいユキは例えわたしの為に怒ってくれたとしても、女の子を泣かせるなんてしちゃいけない。
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