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みんなが目を伏せる中、教室の奥からわたしを強く睨みつける目があった。
目の周りを何度も囲むアイラインのせいで増す目力と、
殺気だった敵意のせいで、迫力は十分。
普段はある程度誰にでも人当たりよく接しているわたしが、唯一苦手なタイプのひと。
それが、加賀愛子。
あぁ、遅刻を免れたことに安心して、昨日の事なんてすっかり忘れてた。
こうなる予感はしていたのに。
「おはよ、佐倉さん。」
普段は名前で呼ばれているのに
あえて名字で呼ばれるのはこれから何かが起きる証拠。
知らないふり、見てないふりを演じているみんなも
始まるぞとばかりに愛子に注目している。
いつも騒がしい男子達は、こんなときに静かになるらしい。
こういうときこそ騒いでよ。 と、心の中で悪態をついた。
もちろん女子は、みんな知らんフリ。
みんな、わたしを庇うことで 自分が標的になるのを恐れてるからだ。
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