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「裏切るなんて、サイテーだね」
愛子は笑う。酷く楽しげに。
何が面白いの。
わたしをこうやって、みんなの前で辱めている事が?
滑稽?清清しい?愉快?
……馬鹿みたい。
「裏切ってないよ。」
「……は?」
さっきまで楽しそうに笑っていた加賀愛子は、わたしが反論したことが気に障ったみたいだ。
「あんた、わたしの彼氏奪ったんだよ?」
髪を弄んでいた手が止まった。
今度は左腕を右指でトントンと叩いて、その仕草で苛立っているのが見て取れた。
そんな長い爪でそんなことして、腕が痛くないのかな。
なんて、どうでも良いことを思う。
「宗野くんに色目を使ったりしたことなんてないし、特別仲が良かったわけでもない。
奪っただなんて語弊があるよ。
……そんなにわたしを悪者にしたい?」
愛子は顔を真っ赤にして、言葉に詰まっている。
先ほどよりももっとその目つきは鋭くなっていく。
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