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だがな、といつもの黒ブチ眼鏡を押し上げて彼は言った。
「俺のひよこが他の男のことを考えて悩むなんて絶対許せない!」
なんか真顔で物凄く恥ずかしい事を言われたが、それは一先ず置いておくとしよう。
気にせずに、ツッコミを入れる。
「それってCM上の設定でしょ」
「CMでもなんでもだ!俺のひよこに思われる男がいるのも赦せん!これは社長も同意していた。だから今回CMの出番はなしだ」
「別にCMに出たかった訳じゃないよ。ただ…」
「ただ?」
今年は頑張って手作りチョコを渡そうなどと考えていたことは絶対に教えてあげない。
「なんでもないです」
「なんだよ、何かあるならちゃんと言えよ」
「じゃあ」
一呼吸おいて言う。
「『俺のひよこ』なんて言わないで。誰かに聞かれたら恥ずかしいじゃない!」
「嫌だ」
せっかく言ったのに即答ですか!
「ならせめて名前で呼んでよ」
「………」
「………」
「それは考えておくよ」
今の沈黙何!そこ悩まなくてもいいとこじゃないですか!
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