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「ちなみにそれを断った場合は?」
「さて、どうなるかしらね」
何かその笑み怖いよお嬢ちゃん。
だが、だからこそやってみる価値はある!
「うし、じゃあ断ろうかね」
「はぁ!?」
どうも拒否されると思ってなかったご様子。
まあ、普通の人間ならさっきの笑顔の所為で首を縦に振ってたと思うけどな。だけども己(おれ)ぁ九尾の狐。こっちの方がなんか楽しそうだったからついつい首を横に振っちまったぜ。
「……そう、断るのね。ええ、分かったわ。では……あなたには消えてもらいます」
「ほほう」
「使い魔は一匹しか呼び出せないもの。あなたが私との契約を認めないなら、あなたに死んでもらわないと私は使い魔なしになってしまうわ。だから――――」
嬢ちゃんが腰に差してた刀を抜き始めた。
って、随分珍しい形だな。両刃かい。なんか切れ味は随分と悪そう。切り裂くというより力任せに引き裂く方が向いてそうな造形だ。
普通の刀と打ち合ったら刀の方が簡単に折れちまいそうだな。
「ごめんなさいね」
そう言って嬢ちゃんはその変な刀――――剣と言った方が適切かね――を俺の頭目掛けて振り下ろしてきた。
結構動き早ぇな。
「よっと」
「――――っ!?」
けどまあ、避けますよね。
そりゃー確かに人間にしちゃかなり早い方ではあるけどよ、妖怪の中にはこの嬢ちゃんよりずっと早く動く奴沢山いんのよ。
あのアホ天狗とかは速さに関しちゃピカイチだしな。
「……強化したのに難なく避けるなんて、あなた、ただ者じゃなかったのね」
おんやあ? なんか嬢ちゃんが警戒度を上げたようだぞ?
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