ふぁんたじー入りしちまったぜ

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「行くわよ」  キラッと、一瞬剣の刃の根元に埋め込まれた宝石が光を放ったかと思うと、嬢ちゃんの動きは更に加速した。  おお、これは中々。二百歳くらいの天狗に匹敵する速さだ。 「よっ、ほっ、とっ」 「くっ、当たり……なさい!」 「そいやっ、そいやっ、ハッ、ハッ!」 「ええい、なんか腹立つわね!」  掛け声掛けてひょいひょい避け続ける己(おれ)。縦横無尽に剣を振り回す金髪少女。  ちらりと周囲の様子を確認すれば、他の人間は誰一人こっちに近づこうとしていない。  ふうむ。 「ヤーレン、ソーラン、ソーレン、ホーレン、ソーメン、ハイ、ハイ!」 「ああもう! 死ね! 死になさい!」  ホーレンソーメン。ホウレンソウとそうめん。面白い組み合わせだ。  そして嬢ちゃんは段々怖いこと口走る様になってきた。おちょくりすぎたかね。 「…………はぁ……はぁ」  息を荒くし顔を真っ赤にしている十五、六歳くらいの金髪少女。そしてその少女を見下ろしているパッと見二十歳くらいの男である己(おれ)。いやぁ、この場面だけ見たら勘違いされること請け合いだね。 「ほれ、もう諦めたらどうかね。お前さんの攻撃は己(おれ)には当たらんぜぃ?」 「…………っ」  唇を噛み締めている少女。いや、全く。なんだってんだろうか。  とりあえず遊びは満足したし、現状の把握を再開するかね。 「使い魔にはとりあえずならねえが、戦力としてなら最低限の協力ぐらいはしてやんぜー」  ここで譲歩案を叩き込む。どうだ、コテンパンに負かされた後の弱った心には効くだろう。ふはははは。 「……もう、それでいいわ」  諦めたようです御嬢さん。
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