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さて、現状に対する考察をもう一度。
ここにいるのは変な格好をした子供たち。こいつ等は恐らく退魔師の卵だろう。全員が霊力を持ってるから多分そうだ。本来霊力ってのは一部の人間しか持ってないものだからな。
で、己(おれ)は何故だか知らんがいきなりこんな所に呼び出されて使い魔になれと言われた、と。
つまり、己を使い魔にするために呼び出した、という線が妥当。そんな霊術あったかね。清明の奴ですら使えない気がするんだが。
あ、晴明ってのは安倍晴明(あべのせいめい)っつー退魔師最強の男のことな。一度本気の殺し合いをして己(おれ)がギリギリで勝ってから何か友達になった。
己(おれ)をあそこまで追い詰める奴なんざ妖怪含めてアイツ以外にゃ今んとこいないぜ。大した奴だ。
閑話休題。
とりあえず、ここは己(おれ)のいた場所ではないという可能性がある。というかその可能性が非常に高い。
言葉も通じず、変な髪色した奴しかいないのだから。
こいつ等、己(おれ)がいた場所では間違いなく迫害されているであろう。だからこそ、己(おれ)も人化する時に髪の色を白銀から黒にわざわざ調整しているのであるからして。
ふむ、さっき使い魔は一匹しか呼び出せないとか言ってたな。退魔師達は式を何匹も従えてたと思うんだが、微妙に霊術の技術体系が違う可能性があるか。
それなら晴明に出来ない事をこっちの人間が出来るのもある程度説明できるだろう。
うむ、つまり、己(おれ)が元の場所へ戻れるかどうかは全く分からんというわけだ。
…………まあ、別にいいや。
暇つぶしに旅し続けてただけで、別にあそこに思い入れがあるわけでもない。向こうにゃ何人か話せるダチがいるが、まあそれもいいや。妖怪なんざこんなもんだ。
あいつ等も「何か狐の奴いなくなったなー」程度にしか思わないだろう。晴明の奴も冷めてるしな。
それよりも今はこっちの事を知ってみたくて仕方ない。
うし、考察終了。
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