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「ついてきて」
「あーいよ」
金髪少女が歩き始めたのでのんびりフラフラついてゆく。
そして好奇の目線に晒される。
イヤ、恥ずかしい!
なんていうのは冗談で、別に気にせずてくてくてく。
向かう先は子供たちが集まっている場所。
うむ、そして子供たちの何人かの隣に変な生き物がいるな。
妖怪、にしちゃ見たことない。こっちにしかいない生き物だろうか。
……ふむ、使い魔か? うむ、そんな気がしてきた。
と、そうして歩いていると、
「おやおや、学年主席ともあろう方が使い魔に人間を呼び出し、あまつさえ契約にも排除にも失敗してしまうとは」
突然声が聞こえた。なんか厭味ったらしい声だ。
見れば、そこには何か他の生徒よりもちゃらちゃらした装飾品を沢山身に付けた金髪の少年がいた。
「あら、これは学年第四席さん。私に何かご用でしょうか?」
そして金髪少女も何か嫌味を返したっぽい。少女の冷ややかな言葉と目線に金髪少年が顔を赤くした。
「……ふん、まあ見ていなよ。もうすぐ僕の召喚の番だからね。君のそれとは比べ物にならないような使い魔を呼び出してみせるさ」
なんか捨て台詞吐いて去っていった。最後に俺まで一睨みしていったんだが、何だったんだありゃあ。
「……はぁ」
そしてお嬢さんや。俺を見てため息吐くのはやめてくれんかね。
とりあえず、生徒たちをかき分けて奥の方へと歩を進める少女についていく。
一番奥に着いて、ようやく金髪少女は足を止めた。
「あー、なんだ。とりあえず自己紹介でも」
「……そうね。私はライラシア・リ・フォン・ネフェルペンタディア。ネフェルペンタディア侯爵家の長女よ」
「侯爵家、とはなんぞや」
「貴族よ。支配階級ね。……恰好や言動からもしかしたらとは思っていたけれど、あなた、ローエンの出身じゃないわね?」
「ローエンってのが何を指してるかすら分からん」
「……まあ、後で教えるわ。それで、あなたの名前は?」
「おっと、こいつぁ失礼。
己(おれ)はしがない道楽家。姓は伏見(ふしみの)、名は稲荷(いなり)。ここで会ったも何かの縁。ひとまずよろしく頼まぁ」
「姓がフシミノ、ね。ということはイナリ・フシミノ、かしら」
「向こうじゃ伏見稲荷なんだがね」
自己紹介は完了。少し高圧的な感じのする嬢ちゃんだが、悪いヤツじゃあねーみてえだな。
初対面で殺そうとしてきたが。
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