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そうして己(おれ)は、先生らしい人の号令やら挨拶やらを聞いてからライラシアに連れられ男子寮へと行くことになった。
けどよお、
「物置はひでえと思うんだ。いや、野宿とかは普通にしてたからいいんだけどな。けどよお、やっぱり物置はひでえよ」
「文句を言わないで頂戴。本来使い魔は使い魔専用の牧舎に入れられるのよ。そこを人間の住む所まで連れてきてあげたのだから。あなたの為に新たな部屋を用意させるわけにもいかないし、私の部屋に入れるわけにもいかないものね」
「なんでお前さんの所はダメなんだい?」
「あなた男でしょう」
「おっと、そういやそうだった」
「何を言ってるのよ……」
いやはや、妖怪の己(おれ)には男女だなんだというものがねーからすっかり忘れてたぜ。
「うーし仕方ねえ。物置で我慢してやらあ」
「そうして頂戴」
こうして己(おれ)は、この日を終えた。
物置は少し物寂しかったが、野宿よりは断然マシだからもういいさね。
ま、そもそも妖怪の己(おれ)は別に眠らなくても大丈夫なんだけど。狐なのに不寝身(ねずみ)とはこれ如何に。
最近は人間の真似事ばかりしてて夜になると寝る癖が付いてるから、物置でぐっすり寝てやったぜ。人が近づいたら分かるよう結界張ってから狐形態でな。
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