そして始まる学園生活(生徒に非ず)

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 目が覚めた、目覚めの朝だ、良い朝だ。  伏見稲荷、心の俳句。  まずはいつも通り人化。髪の色はやっぱり黒。一々黒に調整するのは面倒っちゃー面倒だが、今更髪の色が黒から銀色になるのもおかしいだろう。仕方ないから黒くする。ついでに結界も解除。 「さて、起きたはいいが……」  一体己(おれ)はこれからどうしたらいいんざんしょ。  明日からは一緒に登校だとか言われても、実際どうすりゃいいのか分からねー。  とりあえずここで待ちゃあいいのか?  ライラシアさんよー、早く来てくれーい。  ……ふむ、とりあえずこれから己(おれ)がこっちで何をするかでも考えてるか。  まずは向こうと違うこっちのことを色々知ろう。そりゃもう適当にどんどん知ろう。それだけでもきっと面白い。  後は……うむ、魔法学園自体も結構面白そうだな。魔法についての授業もやってるだろうから、その授業を見てみたい。  つっても、ライラシアは既に学園の最高学年らしいからライラシアが受けるであろう授業の内容は己(おれ)には全く理解できないだろうが。魔法について知るのはとりあえず後でいいや。霊術についてなら清明のおかげである程度分かるんだがな。まあ、霊力/魔力なんざ己(おれ)ぁ持ってねーから学んでも使えるようになるわけじゃねーけど。  ただ、時々新たな妖術開発の参考になるような霊術が有ったから結構面白かったんだよな。魔法も見るだけで結構面白そうだ。とりあえずは理論とか術式は無視して完成形の魔法見るだけでいいや。 「フシミノ?」  お、ライラシアが来た。  物置の扉の向こうから己(おれ)の名を呼ぶ声が聞こえる。 「おう、起きてるぜー」 「じゃあ出かける準備をなさい。あと十五分ほどでここを離れるわよ」  十五分。一刻の八分の一だけの時間。翻訳の妖術がうまい具合に働いてるぜぃ。 「あいよ。ってまあ、もう行けるんだけどな」 「あら、準備が良いわね」  そもそも準備が必要ないだけに候(そうろう)。体の清めは妖術で一発だしな。  扉を開いてライラシアの嬢ちゃんの後ろにつき歩き始める。
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