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右手の盆に乗っているのは、やたらと豪華な料理。キラキラと光を撒き散らしているように錯覚してしまうほどの、計算しつくされたような美しい色合いの料理が盆いっぱいに乗っている。
対して左手に乗る盆は、まず、何やら汁物。そして外が茶色で中が白い、フワフワしてるっぽい主食と思われるものが二枚。
「パンよ」
疑問の目で見ていたらライラシアが名前を教えてくれた。パンというらしい。
あと、切り分けられた肉。中は薄赤く、いい匂いが漂ってくる。
うむ、貧相という割に肉料理まで出てくるあたり、かなり上等である。
メイドさんが己(おれ)の座っている席に盆を乗せてくれた。
そしてまた忙しそうに何処かへと去っていく。
「なあ?」
「どうしたの? 流石にそれじゃ足りない?」
「いやいや、むしろ思ったより豪華すぎて驚いてるんだが。肉料理なんぞ向こうじゃ滅多に出ねーぞ」
「それ、栄養足りるの?」
「まあ代わりに魚食うからな」
「……魚って食べられるの?」
「え?」
「え?」
ふむ、どうもこっちでは魚を食べるのはあまり一般的ではないらしい。ライラシアが不思議そうな顔をしている。
「ああ、ちなみにそれはライオットボアの肉よ」
「ライオットボアとはなんぞや」
「猪型の魔物の一種のこと」
「魔物って食えるのかい?」
「え?」
「え?」
どうにも話が噛み合わない己(おれ)達であった。
というか、もしも魔物がこっちで言う妖怪の事だったら、己(おれ)ぁ共食……いや、深く考えるのはよそう。
その後、己(おれ)とライラシアは食べ終わってから食堂を出、学園の高等部校舎へと向かった。
魔物の肉は結構美味かった、とだけ言っておく。
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