ふぁんたじー入りしちまったぜ

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「お前さん才能無いんだから、変に難しいことしないでただ翼隠すだけにした方がいいと思うんだがね」 「ぐぬぬぬぬ……」 「狐の己(おれ)と違って一応それだけで人間に見えることだし」 「ふぬぬぬぬ……」 「今回人化は諦めろい」 「そんな……! 俺の、俺の夢が……ッ! 人里で絶世の美女に化けて馬鹿な男共をおちょくり回るという俺の夢が……ッッ!!」  随分とくだらない夢を持っているらしいこの天狗。  こんなのが天狗山の長だというのだから世も末である。 「お前さん、この調子だったら一からまともな人間に変化するだけであと五百年は掛かるぞ」  己(おれ)の見立てに落ち込んだ天狗。長鼻が地面にめり込んでいる。 「その化けもんみてえなのなるまでに三百年掛かってるじゃねーの」  更に落ち込んだ天狗。長鼻が半ばまで地面に突き刺さっている。 「絶世の美女になりたかったら千年くらいかね」  世界のすべてに絶望した天狗。長鼻が地面に完全に埋まっている。  この天狗、まだ千歳くらいのはず。  長生きすればするほど強くなる妖怪は八百歳を超えた辺りから大妖怪と呼ばれるようになるってもんで、まだまだ己(おれ)からすりゃあ『ひよっこ』。ひよこである。天狗だけに。鳥だけに。 「天狗は鳥じゃないってのな……」 「え?」  のそりと起き上がり反論する天狗。  はて、今己(おれ)は心で考えていただけな気がするのだが。 「途中から口に出てたのな」 「……まあいいや、こんなヤツぁ無視無視」  己(おれ)の隣で項垂れている鳥野郎の言うことなどまるっと無視である。
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