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そして金髪が何か慌てているんだが。
少し離れた所にいた、ブカブカのお化けみたいな黒い服着てるおばさんに近づきまたよく分からない言葉を話しかけている。
己(おれ)ぁ完全に蚊帳の外である。蚊に刺されたくないから中に入れてくれい。
「нγогю рюяхшус――――」
「なあなあ、ちょいと御嬢さんや」
「……югосхф янгт?」
あー、もしかしてこれ、言葉が通じてない、かね。
うむ、こんな時はあれだ。妖術の出番だ。
……む、む、むむ、むむむむむ。
……はい、完成。
これで何となく意思の疎通が出来るようになったはず。
妖術ホント便利。何せ己(おれ)ぁ大妖怪。こんなことも出来ちまうのよ。
「先生、言葉が通じません!」
「ふむ、そのようですね」
「あー、もしもし。一応今は言葉通じるぞー」
「って、あなた話せるんじゃない!」
何か金髪に怒られたんだが。
仕方ねえじゃねーか。最初は本当に言葉通じなかったんだから。
酷い奴だな。
「……まあいいわ。で、あなた人間よね?」
「そう見えるならそうかもしれん」
「どっちよ……」
何だかお疲れのご様子。
ため息吐くと『しやわせ』が逃げるらしいぜ。やめときな。
「……ゴホン。それで、あなたは私の使い魔として召喚されてしまったのだけれど、使い魔になる気はあるかしら?」
使い魔……あれか、退魔師の奴らが使う『式』の別名だっけ。
じゃあこいつ等退魔師なのか?
うむ、言われてみればここにいる奴ら全員から退魔師達が使う力、霊力を感じる。
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